地球温暖化の科学的な根拠 -観測と研究の歴史-【1】 | 2014-05-13 |
| ●NPO法人シティ・ウォッチ・スクエア理事長 林 陽生 | プロローグ:地球温暖化とは? | 「地球温暖化」は「地球規模の気温上昇」のことである。5億平方キロ余りの地球表面積の平均気温が上昇する現象を意味する。この現象は特に1970年ころ以降に顕著に現れている。現れている、とは、地球表面付近で観測した気温の平均値が高まっていることが観測されて認識できる。この原因は、大気中の温室効果ガス濃度の上昇である。当然、大気圏の変化だけが原因でなく、水圏、地圏、生物圏との相互作用の結果として大気の質的変化が起こり、温室効果を増大させているためである。   地球温暖化は真実なのかという懐疑論がある。懐疑論をひも解くことはそれ自体興味深い。そのなかで氷河期のサイクルや太陽黒点数の変動との周期性の事実が大気中の温室効果の変化(温室効果ガス濃度の変動)と調和しないことなどを論拠としたものがある。少なくともこのような議論は「地球温暖化」とは異なる現象に関する議論であることに注意すべきである。つまり、近年の、それもここ数十年間に起こっている、「地球規模の気温上昇」が「地球温暖化」である。   ここで、地球誕生以来の気温の平衡に関する内嶋の示唆的な解説を紹介しておこう。図は48億年の地球の歴史の中で、生命が途絶えることなく持続し進化を続けたことが、地上の平均気温がほぼ0~40℃の間に収まる現象と関係することを示している(点線が気温、ハッチが生命の生存可能域)。つまり、原始生物が生まれた30~35億年前以降に、多くの天変地異があったにもかかわらず、生命は途絶えることはなかった。その理由は、太陽誕生以来、時間とともに輝度を強めて放射エネルギーを増大させている太陽の進化と、地球誕生以来、徐々に低下した地殻からの脱ガス速度(水圏の出現による炭酸塩沈殿作用なども関係)、の両者が微妙に平衡したことにある。  
    人類は、図の時系列のごく右端の時代において、地下に埋蔵した化石エネルギーを大気中に取り出した。いわば、温室効果ガスの缶詰のフタを開けたことになる。「地球温暖化」は、近い将来においてわれわれの生活に負の影響を及ぼすことが予想されており、食料生産の場での影響緩和策や軽減策の検討が避けられない課題になるに至った。   このシリーズでは「地球温暖化」の事実がどのようにして認識されるに至ったか、その観測と研究の歴史について解説する。   参考資料 内島善兵衛:地球環境と太陽エネルギー.東レリサーチセンターニュース, No.29,1-13.(1989)
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コラム:きのこ虫――近くて遠いふるさと(むしたちの日曜日107) |
その切り株は、街なかの小さな児童公園の隅っこにあった。
樹種は、はっきりしない。それでもそこに生えるきのこがサルノコシカケであることは、独特の形状から判断できた。
きのこ類の識別は、なかなかに難しい。
春に見るアミガサタケなら... |
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