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西南暖地における飼料給与技術の開発  2012-12-07

●徳島県立農林水産総合技術支援センター 畜産研究所 田渕雅彦 

 
背景と概要
 西南暖地では、夏季の暑熱ストレスによる採食量の減少と、これに伴う生産性の低下が非常に大きな問題となる。特にTMR(混合飼料)では、高温下において飼料給与後に二次発酵(好気的変敗)が生じやすく、さらなる採食量の低下の原因となる。
 フレッシュTMRと発酵TMRをそれぞれ調製したところ、フレッシュTMRでは50℃以上まで温度が上昇したのに対し、発酵TMRではほとんど温度の上昇がみられなかった。フレッシュTMRと発酵TMRを給与した際の生産性を比較すると、乳量、乳成分ともに差は認められなかった。
症状
 飼料の好気的変敗により温度の上昇、嗜好性の低下が生じる。採食量の低下により、乳量、乳成分が低下する。
原因
 飼料が空気に曝されることで、酵母やカビ、好気性の細菌が飼料の養分を利用して速やかに繁殖し、このとき熱が発生することによる。
対策
1.フレッシュTMRをラップフィルムにより密封貯蔵することで、発酵TMRを調製した。
 夏季において、それぞれの飼料の温度の変化を調査したところ、フレッシュTMRでは、調製後8時間頃から約50℃まで温度が上昇したのに対し、発酵TMRでは、開封後の温度の上昇がほとんどみられなかった(図1)
 
発酵TMR開封後およびフレッシュTMR調製後の温度変化
図1 発酵TMR開封後およびフレッシュTMR調製後の温度変化
 
2.フレッシュTMRと発酵TMRを泌乳牛にそれぞれ給与する試験を行ったところ、乳量、乳成分に差は認められなかった(表1)
 
表1 飼養成績
飼養成績
 
 なお、この試験では、採食量(乾物摂取量)は発酵TMRのほうが少ないという結果となった。原因の一つとして、発酵TMRの長期保存による酸の過剰生成が考えられるが、この点については、さらなる検討が望まれる。
 
3.血液性状においては、BUNで試験区が高かったものの、両区とも正常範囲内であった(表2)。また、その他の血液性状も正常値であり、牛の健康状態に異常はないものと考えられた。
 
表2 ルーメン内容液および血液性状
ルーメン内容液および血液性状
参考資料
鈴江ら 2010 西南暖地における飼料給与技術の開発 ―夏季における発酵混合飼料給与の有効性の検討― 徳島畜研報第9号:9-12
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