高温下でも安定栽培できる夏秋イチゴの新品種育成 | 2012-11-22 |
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●徳島県立農林水産総合技術支援センター農業研究所中山間担当 林純二 |
背景と概要(要約) | 徳島県の夏秋イチゴは、夏の冷涼な気候を利用して高標高地域で栽培され、山間地域の主要品目となっている。地球温暖化等の影響により高温期における奇形果の発生等で収量が減収する年があり、大きな問題となっているため、生産現場から対応を求められた。 そこで、温暖化への影響を軽減するため、より耐暑性に優れる品種開発に取り組んだ結果、夏秋どりに有望なイチゴ新品種「サマーアミーゴ」を育成した。   「サマーアミーゴ」果実 |
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症状と原因 | 近年、高標高地域の夏秋時期においても、地球温暖化等の影響により花芽の不稔、胚の受精不良、受精した胚の発育不良等による奇形果の発生、未分化、花芽形成の遅れ等の発生が増加している。 |
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対策(育成の経過) | 普及品種「サマーフェアリー」(徳島県育成品種)より耐暑性に優れる品種育成に取り組んだ。2005年に「徳系2号」(「みよし」×「久留米48号」)×「サマーベリー」の実生選抜株を子房親に、「サマーフェアリー」を花粉親として交配し、場内試験、現地試験により選抜を重ね、優良な1系統を育成した。2008年12月に「サマーアミーゴ」の品種名で登録出願し、2011年5月24日に登録された(第20813号)。   第1表「サマーアミーゴ」の時期別収量と一果重
(クリックすると拡大します)   第2表「サマーアミーゴ」の収量性
(クリックすると拡大します)   第3表「サマーアミーゴ」の特性
(クリックすると拡大します) |
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栽培の活用面・留意事項 | 1.普及対象地域は、徳島県内の標高が高い地域に限る。県外への利用権許諾は行わない。 2.草勢が強く、やや草丈が高くなるので、株間は23cm以上とる。 3.株の生育状況を観察しながら充実したわき芽を常時2~3芽残し、他の弱いわき芽はかき取る。 4.株の成り疲れを軽減するため、初期から着果負担をかけないように、適正な摘果を心がける。 5.品質、収量向上を図るため、盛夏期には遮光資材等による高温対策を行う。 6.炭疽病には抵抗性がないため、定期的な薬剤散布を行うなど防除に留意する。  
「サマーアミーゴ」草姿 |
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