Warning: get_class() expects parameter 1 to be object, string given in /usr/local/lib/php/ratio/wnet/user/control/contents/articleDetailAgent.php on line 49 地球温暖化と気候変動の対策情報サイト/農業温暖化ネット
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極早生温州みかんの着色促進対策  2010-03-04

 
西南団地で、極早生温州みかん等が高温で着色が遅れ、出荷時期がずれて、販売価格にも大きな影響が出ています。着色促進対策等の技術について、教えてください。
A1
  2010-03-04

 
 品目別地球温暖化適応策レポート(農林水産省生産局平成19年6月21日策定)によると、ウンシュウミカンにおいては、生産現場における現象として、九州及び四国地方から果実の着色不良が報告され、着色不良は、夏秋期の成熟期が高温で推移することで、果皮におけるクロロフィルの分解やカロテノイドの生成が遅れるために発生するとされています。
 
 着色促進対策技術としては、どんな高温下でも通常どおり着色を促進できるような画期的な技術は、現状では見あたりませんが、着色不良の軽減が期待できる技術は以下の通りいくつか上げることが出来ます。
 
1.施肥管理
 ウンシュウミカンは、成熟期まで樹体の窒素成分が高い状態にあると、クロロフィルの分解が進みにくいという特徴を有しています。
 近年の研究成果を見ますと、鹿児島県での調査結果では、極早生温州の「かごしま早生」の収穫時葉中窒素の平均は約3%で、基準値(2.7~3.2%)以上の葉中窒素を有する園地が全体の園地の19%に達するという実態調査があります。
(研究成果情報はこちら
 
 この調査では、葉中窒素含量が高いと着色歩合が劣ることも示されており、着色促進のためには葉中窒素を上げすぎないことが重要であることが指摘されています。
 
 このことから、着色不良の回避のために、葉中窒素が高くなりすぎていないかを確認する必要があると考えられます。葉中窒素が高くなりすぎている場合には、施用量を控える等の対策が必要と考えられます。生理落果終了期頃までは葉中窒素は3.0%程度でよいと思いますが、7月から収穫期までは窒素の含有量は少ない方がよいと思います。この調節をどの方法で実施するのかが問題ですが、それがエチクロゼート剤2回散布(吸肥、吸水を1回散布で約3週間抑制)とシートマルチ栽培及び着果負担利用などで実施する必要があります。また、後述の様に収穫後の樹勢回復策を十分実施し、翌春の着花と新梢がバランス良く発生することが重要です。
 
2.土壌水分管理
 透湿性シートマルチ等を用いて、土壌を乾燥させることで、着色が早くなることが知られています。樹体の水分ストレスやシートマルチにより反射した散乱光が着色を促進すると考えられています。
 
 上記のように、シートマルチを行うだけで、着色促進効果は見られますが、過度な乾燥により、小玉果や高酸度果実になる場合がありますので、周年マルチ点滴灌水同時施肥法(通称マルドリ方式の技術マニュアル)のように、シートマルチの下に点滴かん水チューブを設置し、定期的なかん水を行うことで、過度な乾燥を防ぐことも有効です。この場合にも、着色促進効果は発現し、三重県では、3分着色以上の果実を収穫する場合、慣行栽培よりは収穫時期が6日以上早くなるという研究結果が得られています(研究成果情報はこちら)。
 
3.植物調節剤の利用
 エチクロゼート剤(商品名:フィガロン乳剤)には、着色促進効果があることが古くから知られています。その作用機構は明確ではありませんが、エチクロゼート剤処理によりエチレン(果実の成熟を促進する植物ホルモンの1種)生成が起こり、このエチレンが着色を促進するという仮説が提案されています。
 
 近年は、透湿性シートマルチとの組み合わせ処理の効果についても報告されており、鹿児島県での研究事例では、透湿性シートマルチ(5月または7月)とエチクロゼート剤(満開後50~60日後と70~80日後の2回、2000倍~3000倍の濃度で散布)の組み合わせにより着色促進効果が認められています(研究成果情報はこちら)。ただし、この方法では、樹勢が低下する事例もみられるようで、収穫後にかん水や液肥の葉面散布を行い、樹勢の回復に留意する必要があるとされています。熊本県では着色始期ころからメチオニンとリン酸肥料の混合液を散布することで着色が促進される結果が出ていますので、その方向を推進しつつあるようです。
 
4.その他
 ハウスミカンはハウス内の高温により着色遅延が問題となる作型です。このため、温暖化による着色遅延対策を考える場合には、ハウスミカンの技術が参考になると思われます。香川県では、50%程度の遮光ができる白色不織布折り込みネットを用いることで、着色を促進できたという結果を得ています(研究成果情報はこちら)。この結果をそのまま露地で応用可能かどうかはわかりませんが、参考になる技術の一つと考えられます。
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